電磁気学の備忘録
みやすさ重視で雑ですがあしからず———
クーロンの法則、ビオサバールの法則、ローレンツ力
電場、電束密度
磁場、磁束密度
クーロンの法則(Coulomb's law)
荷電粒子間にはたらく電場は電荷量に比例し、距離の二乗に反比例する。
\begin{align}
\boldsymbol{E}=\frac{q}{4\pi \varepsilon_0}\frac{\hat{\boldsymbol{r}}}{|\boldsymbol{r}|^2}
\end{align}
ここで]は真空誘電率(permittivity of vacuum)
話はそれるが、permit は透過する・通過するという意味があるのでそれに能率という意味をもつ ~tivityをつけることで permittivity になるんだなあ。一見ややこしい英単語も語源に着目すれば簡単に覚えられる。
ビオ・ザバールの法則(Biot–Savart law)
微小な長さの電流要素によって離れた位置に作られる微小な磁束密度は
\begin{align}
d\boldsymbol{B}=\frac{\mu_0 I}{4\pi}\frac{d\boldsymbol{l}\times \hat{\boldsymbol{r}}}{|\boldsymbol{r}|^2}
\end{align}
ここで]は真空透磁率(permeability in vacuum)で、である。
permit には透過するという意味があるけど、さらに語源をたどると per にもそのような意味があるので同様に、能力という意味を持つ ability を付け加えて per me abillity になるんだろうなあというのは分かるんだけど、真ん中の me はなんだろう? 多分「磁」という意味に近いんだろうと思う。だとしても magnet が me になるか。。。?
ローレンツ力(Lorentz force)
電磁場中で運動する荷電粒子が受ける力は
\begin{align}
\boldsymbol{F}=q(\boldsymbol{E}+\boldsymbol{\upsilon}\times\boldsymbol{B})
\end{align}
「この世界がそのような物理法則を選んだから。」で済ませられるかもしれないが、それでも粒子の動く向きと磁束密度(磁場)の向きにわざわざ垂直になるように対して力が発生しなければならないというのは、不思議な感覚である。
余談だけど、トリック1の4話で、村から人が消えるという怪奇現象について尋ねられた上田次郎が、適当にローレンツ力の説明をして、「それじゃ鍋とか木も消えてないとおかしくないべか?」みたいなツッコミをされていたのが印象的だった。トリックはシーズン1だけでも3周した。なつかしい。。。 *1
ガウスの定理、ストークスの定理
ベクトル場に対して
ガウスの定理(Gauss' theorem, divergence theorem)
\begin{align}
\int \rm{div} \boldsymbol{E}\ dV = \int \boldsymbol{E}\cdot \boldsymbol{n}\ dS
\end{align}
ストークスの定理(Stokes' theorem)
\begin{align}
\int \rm{rot} \boldsymbol{E}\cdot \boldsymbol{n}\ dS = \int \boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{s}
\end{align}
体積分を面積分に、面積分を線積分へと変換することができる式だ。空間に対して連続的に変化するベクトル場という概念だからこそ成り立つ式だろう。ガウスの定理はつまり、とある体積内での場の発散は、その境界面においての場の法線成分を足し合わせることでできるということであるが、一度図として理解するととても当たり前のことのように感じる。もし人類より知能の高い宇宙人がいるとしたら、これくらいの積分は計算するまでもなく直感で導き出せてしまうのかもしれない。*2
ストークスの定理は同様に、とある曲面での場の回転の法線成分を足し合わせたものというのは、そのフチでの場の成分をフチにそって足し合わせたものと等しくなるということで、これも一度図で理解すればその理由が容易に理解できる。というかこれはウィトゲンシュタインのいう単なる言語ゲームで、最初は式の意味がわからないのはそれは式の構成要素、つまり単語の意味についての認識が不十分だからで、一度図を書くなり調べるなりして自分の中でその単語の意味についての正しい認識を固めていくことで、単語について理解したときには式の意味も理解できるようになっているというだけのことなのかもしれない。
マクスウェルの方程式
マクスウェルの方程式(Maxwell's equations)
\begin{align}
\rm{div} \boldsymbol{E} &= \frac{\rho}{\varepsilon_0}\\
\rm{div}\boldsymbol{B} &= 0\\
\rm{rot} \boldsymbol{E} &= -\frac{\partial\boldsymbol{B}}{\partial t}\\
\rm{rot}\boldsymbol{B} &= \mu_0 \boldsymbol{i} + \frac{1}{c^2}\frac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}
\end{align}
ここで、はそれぞれ電荷密度、電流密度で、点電荷のときはデルタ関数で表せる。
上からそれぞれ、
・ガウスの法則(Gauss's law)
・磁場のガウスの法則(Gauss's law for magnetism)
・ファラデーの電磁誘導の法則(Faraday's law of induction)
・アンペール・マクスウェルの法則(Ampère's circuital law with Maxwell's addition)
と呼ばれる。
二番目の式は磁束保存の式ともいわれる。
百聞は一見にしかずというのなら、百見は一方程式にしかずともいうべきか、第一式は電束密度の発散が電荷密度そのものであることを示し、第二式は磁気モノポールが存在しない(磁束の湧き出しがない)こと、第三式は磁束密度(磁場)の時間変化に伴って渦のように電場が生じること、そして第四式は同様に電束密度の時間変化に伴ってだけでなく電流さえあれば磁場は発生するのだということを示している。
しかし、磁気単極子の存在についてはいまだスーパーカミオカンデなどで観測が試みられていたり、1931年にディラックがその存在を仮定した上で上式とは別の形のマクスウェルの方程式を導出していたり、それはそれで奥深かったりするので一概に今知られている物理法則が絶対に正しいとは信用しては行けないようだ。といっても、私達の生活環境において近似的に成り立っていることには変わりない。
もし磁気モノポールが存在するなら、磁荷が電磁場から受け取る力はとなるらしく、ローレンツ力と比較してもまさに電場と磁場が双対な関係であることが見て取れる。もしそうだとしたら、この世界は対称的でなんて美しいことだろうか? それともそれはただの対称性という甘い蜜に吸い寄せられる学者への罠で、世界は非対称であることを前提としているのか? そもそも対称であることは完全なのか? なぜ人間は対称であることを求めるのか? 理解するのが楽だから? 確かに、非対称であるよりは、対称である事の方が確率が低く、従って対称であるようにして導かれた双対の関係は真である可能性が高い。しかしだからといって、それが絶対に真である必然性はない。
また平成24年の首都大学東京のPDFで、理論的に磁気モノポールを実験室で作れることを示したと書かれているが、なぜか記載されている原論文のURLが無効で真贋の確認ができなかった。*3
電磁ポテンシャル、ゲージ変換
電磁ポテンシャル
任意の空間ベクトルで、が計算によってわかる。
なので磁場のガウスの法則(磁束保存の式)から、とおける。
よって、ファラデーの電磁誘導の法則は
\begin{align}
\rm{rot}\boldsymbol{E} + \frac{\partial \boldsymbol{B}}{\partial t}=\rm{rot}\left(\boldsymbol{E} + \frac{\partial \boldsymbol{A}}{\partial t} \right) = 0\tag{1}
\end{align}
となるが、とおくと、これは静電ポテンシャルの一般化となっており、またを満たす。
の組を「電磁ポテンシャル(Electromagnetic vector potential)」という。
ここで、より、ガウスの法則は
\begin{align}
-\rm{div}\boldsymbol{E}=\Delta\phi+\rm{div}\frac{\partial \boldsymbol{A}}{\partial t}=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}
\end{align}
となる。また、が成分の計算で分かるから*4、アンペール・マクスウェルの法則は
\begin{align}
\rm{grad}\ \rm{div}\ \boldsymbol{A}-\Delta\boldsymbol{A}=\mu_0\boldsymbol{i}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\left(-\rm{grad}\ \phi-\frac{\partial \boldsymbol{A}}{\partial t}\right)
\end{align} \begin{align}
\left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\boldsymbol{A} - \rm{grad}\left(\rm{div}\boldsymbol{A}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi\right)=-\mu_0 \boldsymbol{i}
\end{align}
と変形できる。以上をまとめると
\begin{align}
\Delta\phi+\rm{div}\frac{\partial \boldsymbol{A}}{\partial t}=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}\tag{2}
\end{align}\begin{align}
\left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\boldsymbol{A} - \rm{grad}\left(\rm{div}\boldsymbol{A}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi\right)=-\mu_0 \boldsymbol{i}\tag{3}
\end{align}\begin{align}
\boldsymbol{B}=\rm{rot}\boldsymbol{A},\ \boldsymbol{E}=-\rm{grad}\ \phi - \frac{\partial \boldsymbol{A}}{\partial t}
\end{align}
となる。
ゲージ変換
ここで、任意の空間ベクトルに対してが成り立つから、は、変換に対して不変(invariant)である。このときとすると、に対しても不変にできる。この電磁ポテンシャルの変換を「ゲージ変換(Gauge transformation)」という。
ここで、
\begin{align}
\rm{div}\boldsymbol{A}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi=\rm{div}\boldsymbol{A^{\prime}}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi^{\prime}+\left(\Delta-\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\chi
\end{align}
であるから、
\begin{align}
\left(\Delta-\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\chi=-\rm{div}\boldsymbol{A^{\prime}}-\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi^{\prime}
\end{align}
とすれば、式の第2項を0にすることができ、つまり、
\begin{align}
\rm{div}\boldsymbol{A}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi=0
\end{align}
(ローレンツ条件)を得るので、式は
\begin{align}
\left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\boldsymbol{A}=-\mu_0 \boldsymbol{i}
\end{align}
となる。また式にローレンツ条件を適用すると、
\begin{align}
\left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}
\end{align}
であるから、上記をまとめて「ローレンツゲージにおけるマクスウェルの方程式」
\begin{align}
\begin{cases}
&\left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\phi=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}\\
& \left(\Delta - \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}\right)\boldsymbol{A}=-\mu_0 \boldsymbol{i}\\
& \rm{div}\boldsymbol{A}+\frac{1}{c^2}\frac{\partial}{\partial t}\phi=0
\end{cases}
\end{align}
を得る。
尚、四元ポテンシャル(Electromagnetic four-potential)、四元電流密度(Four-current)、ダランベルシャン(d'Alembertian)を用いて、上2式は
\begin{align}
\therefore\ \Box A^{\mu}=\mu_0 \boldsymbol{J}
\end{align}
と簡略化できる。
\begin{align}
\end{align}
*1:懐かしいと言っても結局は1年前とかそんなもんなんだけど、貧乏には変わりなかったけど稼ぐためにただひたすらアプリ開発をしていて、あまりにも精神的にきつかったためコーディングしながらドラマを見ていた。アプリの設計図を作ったらそれを壁に貼ることで、あまりアプリ開発に集中しなくてもコードが書けるのだ。3Dモデリングをしているときも同じ要領で、それでドラマを20〜30本、映画を300本くらい見た。もし人生が有限でなかったなら、世の中にあるすべての映画・ドラマ・小説をみたいし、これまでの全ての歴史を知りたい。しかし実際には、無限という存在からするとそのような情報を得る膨大な時間でさえも限りなく矮小である。とはいえどの道全ての歴史を知ることはできない。なぜなら始皇帝の時代に焚書された書物、チンギスハンによって侵略された国の書物などそもそもこの世から消えてしまった本が多くある上に、革命によって打倒された王朝は史実を歪めてまで貶される傾向にあったり、新約聖書など後世になって政治的な都合によって盛られたりといった例もあるので、どこまで信用していいかわからないものも多い。したがってタイムマシンの開発が待たれる。
*2:はじめアルゴリズムという漫画の主人公がまさにそんな感じだった。まだ1巻しか買えてない
*3:しかも(もし本当であれば)すごい結果であるにも関わらず、「磁気モノポール 首都大学東京」で調べてもなぜか当時の記事や2chの掲示板しかヒットせず10年たっても目新しい情報が出ていないということは、多分結果が間違いだったか、誰かが実在の教授などの名前を借りて巧妙なイタズラ記事を作っただけなのかもしれない。(最初は全部ウソだと思ったけど、教授の名前とか電話番号は本物なんだよなあ......)
*4:成分の計算でも分かるが、パッと思い出したいときに使える考え方がある。平行でない空間ベクトルについて、はに対して垂直であり、はそのに対して垂直であるため結局この3重積はに対して同一平面上に存在する。したがって、スカラーでとなるものが存在する。両辺にを内積するとより、スカラーでとおけるが、に適当な特殊値を代入してであるとわかる。これにより、 \begin{align} \boldsymbol{a}\times(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{c})=(\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{c})\boldsymbol{b}-(\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b})\boldsymbol{c} \end{align} が成り立つ。また、右辺を並び替えることでアルファベットが「バック・キャブ(bac cab)」となるというカスみたいな覚え方もある。